真夏やスポーツのあと、あるいは閉め切った空間などで、「自分の汗のニオイが気になって他人に不快な思いを与えていないか気になった」といったような経験はありますか?恐らく、だいたいの人は経験したことがあるでしょう。
あるいは自分の口臭が残っているのではないかとか、自分では分からないだけで臭っているのではないか等、ニオイについて考えたことは誰しもあるはずです。
そもそも日本人は衛生面・清潔面を特に気にする文化的背景があります。そのため、自分のニオイを気にするといったことは何ら珍しいことではありません。
しかしなんら明確な原因がないにも関わらず、自己臭が気になるケースが存在します。
つまり周囲が気になるようなニオイ・もしくは原因となる病気や異常もないのに「自分は臭っているはずだ」「このひどい悪臭があるから、他人にウワサされてしまう」といった一種の思い込みのような症状を引き起こしてしまうのです。
そういった症状が起こることを「自臭症」といいます。
「自分のニオイが常に気になる」という状態は、少しずつ「悪臭を放っているに違いない」「だから嫌われてしまう」という確信に変わり、その確信は日常生活や社会生活をも脅かしていきます。
他人の些細な言動が、すべて自分のニオイのせいだと感じるようになってしまうからです。
そのためそのニオイをなんとか打ち消そうと行動を繰り返すようになります。
口臭であればガムを何度も噛む・何度も歯磨きをする(時には口腔内に炎症を起こすほどに)・マウスウォッシュが手放せなくなる・汗臭であれば何度も何度も汗拭きシートで体を拭き、シャワーを浴び、消臭剤や香水を使用し体のニオイを常に点検し・・・といった過剰な対応策を取るようになるのです。
そして自臭症を呈する人は、それが過剰な対応であると分かっていてもやめられません。自己臭に対する不快感だけでなく、「対応策をやめられない」ということも含めて、症状の一つだからです。
どれだけ対策を繰り返しても自己臭が気になり、人前に出ることさえ億劫になってしまったり、ひどい落ち込みを呈することもあります。
今回は、自臭症について詳しくみていきましょう。
自臭症とは
自臭症は「自己臭症」といわれたり、「自己臭恐怖症」「自己臭関連付け症」といった名称で呼ばれたりなど様々です。
欧米では、1800年代には自臭症に関連する報告がみられていましたがDSM-Ⅳ(米国精神医学会が発行している精神疾患の診断基準の第4版)までは先述したとおり文化的背景によって引き起こされる恐怖症であるとされてきました。
しかし、徐々に全世界にみられる症状という認識が広がってきて、さまざまな精神疾患・症状との関連性や違いについて議論されることになります。
日本では1960年代に自臭症と思われる症例の報告がなされ、その後70年代に入り自臭症患者の様々な視点からの報告が増え、現在に至ります。
当初、社交不安症の一類型なのではないかと考えられていましたが、
- 人前で行動することそのものを恐れているわけではない
- 自分に対するとらわれ(自己臭に対する意識)が強く、それを打ち消すための反復行動(自己臭の確認を繰り返したり、自己臭を消すための努力を何度も実行する)が存在する
といった点をみると社交不安症ではみられない部分も多く、どちらかというと強迫症に症状が似ていて、社交不安症とは異なるという解釈がなされているのが現状です。
ただ系統的な疫学研究が比較的少なく、独立した疾患として認められているわけではありません。多くの研究は、個々の患者さんの経過を詳しく記録した報告(症例報告)が中心で、大勢の患者さんのデータを統計的に分析した大規模な調査が少ない状況というわけですね。
このため現在は、「強迫症」というカテゴリーの中の「他の特定される強迫症および関連症群」の一つとして位置づけられています。
関連症群、というのはメインの強迫性障害の診断基準には完全に当てはまらないが強迫性障害に似た特徴を持つ症状を差します。そのためはっきりと独立した診断基準がまだ確立されていないものの総称、と捉えてよいでしょう。
強迫症との関連性
ここで出てくる強迫症というのは、
- 強迫思考:不快な考えが繰り返し浮かび、制御できない
- 強迫行為:不安を和らげるために特定の行動を繰り返さざるを得ない
- 日常生活に支障をきたすほどの症状がある
- 本人はその考えや行動が過剰だと理解していることが多い(病識を保っている)
といった特徴を有しています。
例えば、当クリニックの疾患解説のページでも紹介していますが、同じ強迫症のカテゴリの一類型には「醜形恐怖症(身体醜形恐怖)」という症状があります。
自分のちょっとした身体の欠点(頭の形がいびつだとか、目じりの高さが左右で少し違う)をとても醜いものだと感じてしまい、強い不快感を感じていてこれが強迫思考に当てはまります。
そして常に帽子を被ったり頭部の状態がごまかせているか何度も確認する・あるいは目じりが見えないように髪の位置をセットするのに何時間も要する・・・といったものが強迫行為と考えられるわけですね。
自臭症については、「自分はひどいニオイを放っていて苦痛だ」というのがこの強迫思考に当てはまり、自己臭が気になり自分のニオイを繰り返し嗅いだり、自己臭を消すために1日に何回も着替えたりシャワーを浴びたりなどといった行動が強迫行為に該当すると考えられています。
症状
- 自分の体臭が気になって仕方ない
- 周りの人の反応が過度に気になる
- 対応策を繰り返しとる
- 人との接触を避けてしまう
といったことが挙げられます。
においを感じる箇所
ニオイの原因については、主に「汗、口、わき、尿、肛門・便、腸ガス(おなら)」などがあります。ただ体のありとあらゆるニオイが気になるというよりは、特定のニオイがひどく感じる、といったケースのほうが多くみられます。
「自分からずっと便のニオイがしていて気になる」とか、「口臭が気になりガムをひたすら噛んだりアメ玉をくわえていないと落ち着かない」などです。
ニオイの程度や表現に関しては様々、
- ドブのような
- むかつくような
- 腐敗している生ごみのような
- 酷いニオイを混ぜ合わせたような
といった自己臭を周囲に放っている、と確信していることがあります。
他者の行動との関連付け
- 人が少し自分から距離をとった
- こちらに視線を感じる
- 誰かが小声で会話をしている
- 近くにいる人が咳ばらいをする
といったきっかけがあると自己臭と関連付けて「自分のニオイで不快な思いをさせてしまっているからだ」考えるのが特徴です。
ただ、「実際に自分で臭うのか」「他人に体臭を指摘されているのか」という点を尋ねられると、
他人に自分が臭わないかどうか質問し、「特に臭わない」という回答を得られたとしても「気を遣ってそう言ってくれているだけだ」という結論に至ることも少なくありません。
ただ、それだけ強く「自分はひどいニオイを放っている」と思っている場合でも、実際に自分自身が臭うかどうか聞かれると「自分ではニオイを感じない」というケースも比較的多いのが自臭症の特徴でもあります。
上記の例に限らず、誰かが少しでも顏をしかめたり窓を開けたりすると「自分の臭い」「自分の臭いはひどく耐えがたいもので、他人に不快感を与え、そのせいで自分は他人から嫌われてしまう」という一連の心のプロセスが起こります。
友人・知人だけではなく、家族についても同様です。「夫(妻)がいつも自分に背を向けて寝るのは、自分の体臭を出来る限り感じないようにしたい意思表示だ」と感じることさえあります。
自分の臭いの不快さが他人のそれらの行動を引き起こしているのだ、と関連づけて考えてしまい、それが習慣化されていくのです。
不快感を打ち消すための反復行動
たとえば口臭が気になるケースであれば、
- 口臭ガムやアメ玉を口にする
- 胃薬を飲む
- 口臭スプレーを使う
- マウスウォッシュで口の中を洗う
- 歯磨きを念入りに行う
汗臭であれば、
- 汗拭きシートを使用する
- シャワーで洗い流す
- ボディソープを使って強くこする
- 制汗剤を使う
- 着替える
膣臭・肛門臭であれば、
- デリケートゾーンや肛門周囲の拭き取り・洗浄
- トイレ後の清拭
- 下着の交換
- 重ね着による臭いの封じ込め
といった対応策になるでしょう。
これらの作業を一日の長い時間行ったり、あるいは何度も繰り返したりします。
対処すれば一旦は不快感から解放されることもありますが、不安が完全に消えることはなく再び対応策を繰り返し多くの労力と時間を費やすことになります。
当然ながら、対応策をとってもとっても不快感が消えないというのはとても苦痛なことです。
ニオイの元を消しているはずなのに中から臭ってくる感じがする、となると胃から臭ってくるのだと考え、胃腸に悪いと考える食材は取り除くとか、胃腸に良い薬やサプリメントを取るなどニオイの原因となり得るものをすべて考慮して自己臭を消そうとすることもあります。
対応策とは別に、ニオイをなんとかしようと歯科や胃腸科・婦人科などの受診を繰り返すケースもみられます。ただ、訴えの程度と比較すると口腔内はキレイだったり、胃腸も特に問題がなく原因がはっきりしないことも多いため解決には至りません。
肛門臭が気になる人であれば肛門が人より緩んでいて、便臭がそのまま外に漏れ出ているのでは?と考え何度も肛門周囲をチェックしたり、なんとか清潔を保とうとします。
専門医から括約筋のゆるみも特にない、と言われても「便臭が漏れ出ている」という確信は変わることがないのです。
原因を突き止めようとしても原因が見当たらない。自己臭を消そうと努力しているのに解決に繋がらない。そのことがより不安を強くし、精神的に疲弊していってしまうことも多いのが自臭症です。
社会的孤立を引き起こすこともある
自己臭で困ることの多くが、「あらゆる行動が消極的になってしまう」「人と一緒に行動できなくなる」ということです。当然ですが自己臭が気になる以上、本人は学業や仕事に集中できなくなり、また周りにもそういう想いをさせてしまっているという罪悪感にかられます。
自分のニオイが人の迷惑に感じてしまい学校に行けなくなったとか、就職しても常に自己臭が気になってしまい続かない、転職を繰り返してしまう、あるいは仕事に就く気力さえなくなってしまうといった事例も少なくありません。
そのためひどい落ち込みを引き起こし、うつ病に移行してしまう場合もあるのです。
原因
明確な原因は明らかにされていません。
自己臭を気にし始めた要因としては、「友人からニオイについて指摘された」など起因がはっきりしている場合もあれば、なんとなく自分のニオイが気になるようになり、それからというもの徐々に気になる頻度が増えてきた・・・といったようなきっかけもあるようです。
ただ、文化的な要因が自臭症を発症する可能性を高めているのではないかと長年考えられてきました。
自臭症は欧米でも議論されているとおり全世界でみられる精神症状ですが、特に多く報告されているのは東アジアと言われています。
東アジア諸国の特徴として、
- 集団主義的な文化で他者の目を強く意識する傾向
- 「迷惑をかけない」「周囲に配慮する」という倫理・社会規範の重視
- 体臭に対する敏感さや清潔意識の高さ
というものがあります。
これらが発症要因として関わっているのではないか、という説が挙げられてきたということですね。
ただ診断基準が統一されているわけではないため、正確な患者数の把握が困難であり受診しない潜在的な患者の存在も考えられ実際の疫学データは不明です。
好発年齢
基本的に10歳代〜20歳代前後が好発年齢とされています。しかし2000年代に入る頃より30歳代からの発症例も増えてきているようです。
有病率
正確な有病率や性差については把握されていません。
診断基準
明確な診断基準はありませんが、一般的には以下のようなケースで診断がおりることがあります。
- 自分の体から不快な臭いが発生していると強く確信している
- 臭いについて過度に心配し、常に気にしている(頻繁な身体チェック・過剰な清潔行為)
- 自分から悪臭が漂っているという確信により社会生活に支障をきたす
- 周囲の態度や行動を、自分の臭いへの反応として過度に解釈する
また、
- 医学的検査で明確な体臭の原因が見つからない
- 症状が長期間(数か月〜数年)持続する(自己臭を発しているというとらわれが続く)
- 日常生活や社会生活に著しい支障をきたす
- 症状が他の精神疾患では十分に説明できない
といった点も特徴です。
ただ、たとえば口腔内や胃に炎症がある・口腔内が乾燥しているなど明確な原因があれば自臭症に該当しないといったわけではありません。
炎症や乾燥の程度と比較して明らかにニオイの自覚の程度が強いとか、むせかえるような酷いニオイを発していると認識しているとか、原因が取り除かれたにも関わらずニオイの元が絶たれていないと感じる・あるいは余計ひどくなったと感じるのであれば、身体的な問題とはまた別のものと解釈できるでしょう。
関連疾患
自分から発するニオイがひどいものだと感じる「不快感」、また対応策をとってもその不快感が長期間にわたって持続すること、また対応策に時間や労力をかけること自体もストレスになりやすいという特徴については説明してきたとおりです。
また、ニオイというデリケートな問題であることから他人に気軽に相談しにくく、人に迷惑をかけているという想いから社会的孤立を招きやすい悩みでもあります。
そのため無力感を感じやすく、落ち込みやふさぎ込み・精神的な活力が低下してしまう状態を招きやすいです。
うつ病
自臭症により社会生活を送ることがつらい、といった状態が続いた場合、うつ病を併発する可能性があります。
身の回りのことを行う気力すら起こらなくなったり、不眠や過眠といった睡眠の乱れが持続して現れます。
夜眠れない、または逆に一日中眠ってしまうといった症状が出ることもあります。
心の疲れだけでなく、食欲不振や身体のだるさ、頭痛などの身体症状が現れることもあるのがうつ病の特徴です。
過敏性腸症候群
国内の研究では、消化器症状(おならや肛門臭)に関連する臭いを訴える自臭症の患者において、過敏性腸症候群を50%以上の割合で併発していることを明らかにしています。
過敏性腸症候群とは、大腸や小腸に器質的異常・つまりはっきりとした問題がないにもかかわらず、下痢・便秘などの消化器の不調がみられる病気です。
臭いへの不安が強いストレスとなり、消化管症状を悪化させる(つまり自臭症の存在が過敏性腸症候群を引き起こしたり、増悪させる)こともあれば、消化管症状が臭いへの不安を強める(過敏性腸症候群が自臭症の症状を強める可能性が高い)こともあることを示唆しています。
治療
治療法は薬物療法と、認知行動療法が挙げられます。
薬物療法
自己臭症そのものを改善させる効果が実証されている薬はありませんが、各種症状を軽減させる役割を持ちます。
単独で使用することもあれば、組み合わせて処方される場合もあります。
抗うつ薬
抑うつ症状(落ち込みからくる症状)が目立つ場合やうつ病を呈している場合に処方されることがあります。また、抗うつ薬を使うことで自己臭恐怖に対して不安症状が軽くなった症例の報告もあります。
私たちの感情や気分を調整する重要な脳内物質に、セロトニンとノルアドレナリンがあります。ですが、うつ病ではこれらの物質の分泌や再取り込みのバランスが崩れていることが多いです。
抗うつ薬は主にセロトニン・ノルアドレナリンの再取り込みを抑制することで、脳内での有効量を増やし症状の改善を図ります。
服用してすぐに効くわけではなく作用は徐々に現れるため、根気よく続けることが望ましいでしょう。
睡眠導入剤
睡眠の質の改善に用います。また「睡眠導入剤」という名称から睡眠の問題だけに効果があるような印象ですが、不安症状に対してもアプローチが可能です。過度な緊張状態にある場合には睡眠導入剤にて適度に緊張が緩和する場合もあります。
抗不安薬
不安が強い場合に、不安を和らげるために用いられることがあります。
抗精神病薬
自臭症の中でも妄想的な確信が強く、現実検討力が著しく低下している場合や社会生活に重大な支障をきたしている状態、他の治療法で十分な効果が得られない場合などには抗精神病薬の処方がなされることがあります。
認知行動療法
通常は、薬物療法と並行して行われる治療法です。
各種フェーズに分け、少しずつ自己臭に対する恐怖心や「自分がひどいニオイを放っているから人間関係がうまくいかないのだ」というとらわれから少しずつ認知や行動を修正していき、社会に適応できるようにするのが目的です。
以下に、ステップを紹介していきます。
1.認知の修正
- 自己臭に関する非合理的な考えの特定
- 客観的な証拠に基づく思考への置き換え
- 過度な自己注目の軽減
たとえば誰かが席を立って離れていったとき、「自分が臭っているのではないか、だからいても立ってもいられず席を離れたのだ」という考えが沸いてきます。
いわゆる、「他人の行動(席を離れた)」=「自分の認知(自分のニオイのせい)」という図式が出来上がってしまっている状態です。
もちろん、そのこと自体が悪いわけではありません。自分のニオイが気になっているのですから「ニオイのせいかも・・・」と考えるのはごく自然なことですよね。しかし、他人の言動すべてを自己臭と関連付けて考えるのは、あまり健全な形とは言えませんし自分を追い込んでしまいます。
まずはその「認知の癖」に気づき、他人がどういった言動をすると「自分のニオイのせいだ」
と思うのかを分析し、その認知の癖を少しずつ修正していきます。
2.行動実験(暴露療法)
- 回避行動のリスト作成
- 段階的な外出訓練
- 社会的状況への段階的曝露
暴露(ばくろ)療法とは、本来は自分にとって避けたい行動に身をおいてみて、慣れていくトレーニングです。
当然のことながら「今から集団の中に行って耐えてください」というわけではなく、可能な範囲で少しずつ人と同じ空間に居ることや人と接すること、また自分が恐れている状況が本当に起きるかどうかを自分の目で確認することを目標にします。
自臭症があると、電車やバスの中など人が密集する場を避けるようになります。他人と接する機会がある場も同様ですね。
しかし、これらの回避行動は不安から身を避けているようでいて、長期的にみると不安をより強めたり症状を強くするといわれています。
そのため、避けている状況を振り返りその場面に敢えて段階的に身を置くことで、少しずつその状況に慣れていくことが不安の軽減にもつながっていくのです。
これらは、回避という「行動」を修正するきっかけにもなります。
3.対処行動を修正する(リラクゼーション技法を習得する)
- 呼吸法の習得
- 筋弛緩法の実践
- マインドフルネス(いま、この瞬間の呼吸に集中する)の導入
自分のニオイが気になると、ついついスプレーを自分に吹きかけたり、ニオイを確認したくなったり、着替えたくなったり・・・という対処法に走りやすくなります。
自己臭の原因を取り除くために対処法を行う、というのは理にかなっているように感じますよね。しかし実はこの対処行動も、回避行動と同じで何度も・何時間も繰り返していると一時的な不安を取り除くには最適でも、長期的な不安を強めてしまう原因になるのです。
そのため、不安を感じた場合・・・つまり「自分は不快なニオイを今発しているのでは」と考えたときに即座に対処行動を起こすのではなく、まず一旦ひと呼吸おいてみて、対処行動ではなく緊張状態を緩めることを優先するように練習を行います。
まとめ
「体臭で悩む」というのはそれ自体は珍しくない悩みです。初期の段階で歯科、内科や消化器内科を巡ることはあっても精神科にいく機会があるというのは非常に稀なパターンでしょう。
何をしてもニオイが取れず、非常に苦痛で、社会生活にも影響が及ぶといった段階までいってようやく精神科に受診するきっかけが生まれるということが多いです。
そのため精神科での治療に至るまでの期間が非常に長く、20年ちかく自臭症に悩み、対策をとってもなかなか解決しないゆえに精神科を受診する場合や、歯科・口腔外科から紹介されて受診する例も少なくありません。
しかし、自臭症は紹介したとおり単なる自己臭の悩みというわけではなく、うつ病を併発したり学業や就職への不利益を生じたりと社会生活を困難にしてしまう可能性もはらんでいます。可能な限り早く、専門機関で適切な治療を進めていくことが重要です。
もし家族が自臭症に当てはまるようであれば、あるいは自分自身が自臭症に近い症状を持っていてとても苦しんでいるといった状況なのであれば、これを機会として医療機関を受診していただけると幸いです。